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登記所備付地図データと筆ポリゴンは別物 — 違いを踏まえて選ぶ【2026年7月時点】
「公図をネットで無料で見たい」と検索すると、有料の登記情報提供サービスや、対応地域が限られる専用ビューアがまず目に入ります。 実際には、法務省が公開する登記所備付地図データを、インストール・アカウント登録なしでブラウザだけで閲覧する方法が複数あります。 本記事では、その中でも個人開発のオープンソースGISツール「GIS-HUB」「GIS-HUB-jp」(プロジェクト名: ortho-earth)を含む3つのルートを比較し、 あわせて「筆ポリゴンは登記の筆(筆界)とは別物」という、実務者でも混同しがちなポイントを整理します。
本記事は測量士補・QGIS公式プラグイン作者(6本)である筆者が、各データの利用規約原文および紹介ツールの公開ソースコードを確認した上で執筆しています。詳しい筆者情報は本文末尾をご覧ください。
法務省・農水省・国交省・総務省のデータがあらかじめ変換済みでカタログ化されている。検索して選ぶだけで表示でき、変換作業は不要。
個人開発の小規模OSS(後述の注意点あり)
筆ポリゴン公開サイト(農水省)や、公図専用のWebGISサービスなど、目的別に特化した公式・専用サイトを使う。
対応データ・地域がサービスごとに異なる
G空間情報センターから変換済みGeoJSON等をダウンロードし、汎用版GIS-HUBへドラッグ&ドロップして表示する。
複数市区町村・複数データの重ね合わせに向く
なお、農地の筆ポリゴンと登記の筆界を重ねて比較したい場合は、みるラボが独自に構築した 筆ポリゴン×登記筆界マップが最短です(地籍調査進捗率・測量精度区分の表示にも対応)。
「公図」は法律上の正式名称ではなく、慣用的な呼び方です。法務省が登記所に備え付ける図面には、大きく分けて2種類があります。
この2つを合わせた電子データが、法務省がG空間情報センター経由で公開している登記所備付地図データです。 重要な注意点として、これらの公開データは法務局における証明機能を持ちません。正式な証明が必要な場合は、法務局が交付する地図証明書・図面証明書を別途取得する必要があります(根拠: 法務省「登記所備付地図の電子データの公開について」)。
一方、筆ポリゴンは農林水産省が衛星画像等をもとに整備した「農地の区画情報」で、耕地面積調査等の母集団情報として作られたものです。 筆ポリゴンの利用規約にも「筆界の特定や実際の土地の権利関係を示すものではなく、大まかな農地の位置情報を確認するための参考情報」と明記されています。 つまり、登記所備付地図データ(公図・14条地図)と筆ポリゴンは、作成目的も作成機関もまったく異なる別々のデータです。 名前が似ていることもあり、「筆ポリゴンを見れば登記の境界がわかる」と誤解されることがありますが、両者の境界線は完全には一致しません。
GIS-HUB-jpは、個人開発者が公開しているオープンソースプロジェクト「ortho-earth」の一部で、法務省・農林水産省・国土交通省・総務省の4省庁のオープンデータを検索・閲覧できる無料のブラウザGISアプリです(根拠: 公開ソースコードのデータセット定義)。 この4省庁のデータはあらかじめ専用の変換パイプラインでブラウザ表示用の形式に変換されカタログ化されているため、利用者は変換作業をせずにクリックするだけで表示できます。
処理はブラウザ内で完結する設計とされており、一度読み込んだデータはIndexedDB(ブラウザ内蔵のデータベース)にキャッシュされ、次回以降は再読み込みなしで即座に表示されます(根拠: 公式ドキュメント・公開ソースコード)。
⚠️ 注意点: GIS-HUB-jpは個人開発のプロジェクトで、本記事執筆時点(2026年7月)でGitHub上のStar数は2、Fork数は0、正式リリースは未発行です。開発中のツールであり、将来的に仕様変更やサービス終了の可能性がある点を理解した上でご利用ください。恒常的に使い続けたい用途には、後述する公式サイトや、みるラボの独自ツールも選択肢に入れることをおすすめします。
特定のデータだけを確実に見たい場合は、公式・専用のサイトを使う方法もあります。
複数の市区町村や複数のデータを自分の手元で組み合わせたい場合は、G空間情報センターから直接データをダウンロードし、汎用版の GIS-HUB(GIS-HUB-jpとは別の、世界中のデータに対応する汎用アプリ)へドラッグ&ドロップする方法もあります。GIS-HUBはSHP・GeoJSON・FlatGeobuf・KMZ・GPXなど複数形式に対応しています。
⚠️ 地図XMLを直接ドロップする場合の注意: GIS-HUBは国際標準形式であるGML(Geography Markup Language)を前提としたデコーダーで「.xml」ファイルを処理します。法務省の地図XMLはGMLとは異なる日本独自のタグ構造を持つため、生の地図XMLファイルをそのままドラッグ&ドロップしても、図形が正しく認識されない可能性があります(根拠: 公開されているソースコードの確認。実際にアップロードして動作を確認したものではなく、コードの読解による推論です)。 地図XMLをどうしても直接扱いたい場合は、QGISの「MOJXML Loader」プラグインなど、地図XMLに対応した専用ツールを使うことをおすすめします。
ブラウザだけの方法は「今すぐ概略を確認したい」場面に向いていますが、複数レイヤーの本格的な分析・編集・出力が必要な場合はデスクトップGIS「QGIS」の利用が適しています。 QGISには、地図XMLを直接読み込める「MOJXML Loader」プラグインなど専用のツールがあり、法務局データを本格的に扱う実務者はこちらを使うケースが多いです。
筆者が開発・公開しているQGISプラグインの中にも、関連する用途に使えるものがあります。
本記事は、測量士補・QGIS公式プラグイン作者(6本)である齋藤晃紀が、南極観測隊参加・内閣府QZSS(みちびき)実績を通じて得た測量・GISの知見をもとに執筆しています。 紹介した各データの利用規約は原文(PDF等)を直接確認し、ortho-earth(GIS-HUB/GIS-HUB-jp/GeoPBF)の技術的な挙動は公開されているソースコードを確認した上で記載しています。
Q. 公図は無料で見られますか?
はい。法務省の登記所備付地図データはG空間情報センター経由で誰でも無料でダウンロードでき、出典を明記すれば商用利用も可能です(根拠: 登記所備付地図データ利用規約)。ダウンロード・変換の手間を省いてブラウザだけで見たい場合は、本記事で紹介する「GIS-HUB-jp」のような無料Webアプリを使う方法があります。ただし法務局が発行する正式な地図証明書の代わりにはなりません。
Q. 筆ポリゴンと公図の違いは何ですか?
筆ポリゴンは農林水産省が衛星画像等をもとに整備した「農地の区画情報」で、耕地面積調査のために作られたものです。一方、公図(登記所備付地図データ)は法務省が管理する「登記上の筆(土地の区画)の筆界・地番」を示す図面です。作成目的・作成機関が異なる別々のデータのため、境界線が完全には一致しないことがあります。実際にどれだけずれるかは、みるラボの「筆ポリゴン×登記筆界マップ」で重ねて確認できます。
Q. 地図XMLとは何ですか?
法務省が登記所備付地図データを配布する際に使う独自のXML形式です。国際標準のGML(Geography Markup Language)とは異なる日本独自のタグ構造を持つため、一般的なGIS対応ソフトにそのまま読み込ませても正しく解釈されないことがあります。QGISの「MOJXML Loader」プラグインやデジタル庁の変換ツールなど専用の変換処理が必要になる場合が多く、変換作業を避けたい場合はG空間情報センターが配布する変換済みGeoJSON/Shapefileを選ぶ方法もあります。
Q. データはどのくらい新しいですか?
登記所備付地図データは年1回更新されており、2026年7月時点の最新版は令和8年(2026年)4月15日13時に公開された、令和8年2月時点で抽出されたデータです。現在は令和7年2月時点・令和8年2月時点の2か年分が公開されています(根拠: 法務省)。なお、令和7年青森県東方沖地震で基準点の測量成果が改定された地域でも、データ内の座標値は地震発生前の値のままである点に注意が必要です。筆ポリゴンは農林水産省が年1回更新しています。
Q. 商用利用できますか?
登記所備付地図データ・筆ポリゴンデータともに、指定の出典表記を行えば商用利用が可能です(いずれも政府標準利用規約(第2.0版)に準拠。根拠: 各データの利用規約)。ただし本記事で紹介する無料Webアプリ「GIS-HUB-jp」自体は個人開発のOSSで、アプリ本体はGPL-3.0ライセンスの構成要素を含みます。データの利用規約とツールのライセンスは別物なので、ツールを改変・組み込みたい場合はGPL-3.0の条件を別途確認してください。
不動産登記法第14条第1項に基づく地図。土地の面積・距離・形状・位置の正確性が高く、境界を一定の誤差の範囲内で復元できる。地籍調査等により整備される。
14条1項地図が未整備の地域で代わりに備え付けられている図面。多くは明治期の地租改正時の図面が起源で、面積・距離の正確性は低い。一般に「公図」と呼ばれる。
法務省が公開する、登記所に備え付けられた地図(14条1項地図・地図に準ずる図面)のデジタルデータ。地図表示専用で証明力はない。
登記された土地の1筆(1区画)ごとの境界線。公的な確定には土地家屋調査士による筆界確認・登記手続きが必要。
農林水産省が衛星画像等から整備した農地の区画情報。耕地面積調査の母集団として利用され、法的な境界とは無関係。
法務省が登記所備付地図データを配布する際の独自XML形式。国際標準のGMLとは異なる日本独自のタグ構造を持つため、対応していないGISソフトでは正しく読み込めないことがある。
公共座標系(平面直角座標系)は現実の測地系に対応した座標系で地図に正しく重なる。任意座標系は独自の基準で作られた古い図面に多く、現実の地図とは位置がずれる。
国が推進する、土地一筆ごとの所有者・地番・地目・境界・面積を調査・測量する事業。完了地域ほど登記所備付地図データが公共座標系・高精度になりやすい。
14条1項地図・地図に準ずる図面の定義、公開時点、証明機能がない旨の公式説明
ダウンロード手順・ファイル命名・地震による座標未改定の注意点
登録不要・アンケートのみで筆ポリゴンを閲覧・ダウンロード
法務省・農水省等のデータをブラウザだけで検索・閲覧できる無料Webアプリ
GIS-HUBが内部で使うバイナリ地理フォーマットの仕様
QGISで地図XMLを直接読み込むプラグインの使い方