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CS立体図・MPI赤色立体地図・陰影起伏図のような「地形表現図」は、 標高データから傾斜や凸凹を計算して色を付け、地形の起伏を1枚の地図で 立体的に見せる技術です。手法ごとに得意な地形が違うため、 同じ場所で見比べるとそれぞれの特徴がよくわかります。
このコンテンツでは、国土地理院の標高タイル(1m・5m・10mメッシュ)から CS立体図・MPI赤色立体・収束度図・地上開度図・曲率図をブラウザでリアルタイムに生成し、 国土地理院の陰影起伏図や長野県の公式CS立体図など公開タイルと合わせて 11種類を比較できます。1枚表示、スワイプ、最大11枚の並列表示から選べ、 どの地図を動かしても全部が同じ場所に連動します。 国土地理院の赤色立体地図は、地図の右上の「設定・凡例」(スマホでは「設定」)で開く欄にあるリンクから、地理院地図の同じ場所で開けます。
| 地形表現図 | 見え方・向いていること | 作り方・出典 |
|---|---|---|
| MPI赤色立体(ブラウザ生成) | 急斜面ほど赤く、周りの地形に囲まれた谷や凹地ほど青緑、平坦面は白。活断層などの地形判読向けに、従来の赤色立体地図を改良した表現(Kaneda & Chiba, 2019)です。 | Kaneda & Chiba (2019) の MPI赤色立体地図の手法(保護指数 MPI)で生成。探索半径はズーム13〜15で約150m、16以上は約50〜100m(1mの無い所とその境目の近くは約150m)、12以下は約250m以上 |
| CS立体図(ブラウザ生成) | 尾根や段丘の肩(凸)は赤茶、谷や崖下(凹)は青、急斜面ほど暗い。曲率と傾斜を重ねるので、林道・畦・旧河道のような小さな段差も読み取れます。 | 長野県林業総合センターが考案した CS立体図の方式(標高・傾斜・曲率の彩色合成)で生成 |
| CS立体図(長野県・公式) | 長野県が航空レーザ測量(0.5mメッシュ)から作成した公式の CS立体図 Ver.2。ブラウザ生成版と見比べると、元データの細かさの違いがわかります。 | 長野県林業総合センター「CS立体図 Ver.2(1m)タイル配信」G空間情報センター(CC BY)※長野県内のみ |
| 収束度図(ブラウザ生成) | 周りの斜面が集まってくる谷は緑、外へ広がっていく尾根は赤。急斜面ほど暗くなります。雨水が集まる筋を追うのに向いた表現です。 | 収束度 Convergence Index(Kiss, 2004)と傾斜を重ねた表現。中央開発株式会社の「CIマップ」(上原大二郎・西村修一・田中風羽・竹田和弘「収束度(Convergence Index)を利用する微地形表現図『CI マップ』の考案」第59回地盤工学研究発表会 23-13-1-06)と同じ考え方で生成(同社の製品ではありません) |
| 地上開度図(ブラウザ生成) | その地点から見上げた空の開け具合。尾根や台地の縁は明るく、谷や窪地は暗くなります。MPI赤色立体の青緑(囲まれ具合)と同じく、周りの地平線の高さから求める量です。 | 横山ほか (1999) の地上開度(8方向。探索半径は MPI赤色立体と同じ)で生成 |
| 曲率図(ブラウザ生成) | 地表の凸凹だけを取り出した図。凸(尾根・段丘の肩)は赤、凹(谷・崖下)は青。CS立体図の「色」の元になっている量です。 | 標高を平滑化してラプラシアン(2階微分)を計算 |
| 陰影起伏図(地理院) | 北西から光を当てた陰影。いちばん見慣れた立体表現ですが、光と平行に延びる尾根や谷は見えにくくなります。 | 国土地理院 地理院タイル「陰影起伏図」 |
| 陰影(光源を動かせる) | 光源の方向をスライダーで変えられる陰影。光の向きで見える地形・見えない地形が入れ替わることを確かめられます。 | MapLibre の hillshade レイヤー(国土地理院の標高タイル) |
| 傾斜量図(地理院) | 傾きが急なほど黒く、平らなほど白い。崖や急斜面の分布を見るのに向きますが、尾根と谷の区別はつきません。 | 国土地理院 地理院タイル「傾斜量図」 |
| 色別標高図(地理院) | 標高を色で塗り分けた図。高さの分布はひと目でわかりますが、同じ高さの中の小さな凹凸は見えません。 | 国土地理院 地理院タイル「色別標高図」(海域部は海上保安庁海洋情報部の資料を使用して作成) |
| アナグリフ(地理院) | 赤青メガネ(左目が赤・右目が青)で見ると地形が浮き上がって見える立体視用の図です。 | 国土地理院 地理院タイル「アナグリフ(カラー)」 |
このほか、国土地理院の標準地図・淡色地図・航空写真とも並べて見比べられます。
※「赤色立体地図」はアジア航測株式会社(千葉達朗氏)が考案した表現手法です。 「ブラウザ生成」の図は公開された論文等の手法をこのページで再現したもので、各社・各機関の公式データではありません。 MPI赤色立体(ブラウザ生成)も、アジア航測株式会社・金田氏の製品や公式データではありません。
このコンテンツで使用している技術・データは以下の通りです:
※手法の出典: CS立体図=長野県林業総合センター(2012)、MPI赤色立体地図=Kaneda & Chiba(2019)、 地上開度=横山ほか(1999)、収束度=Kiss(2004)、 CIマップ(収束度図と同じ考え方)=上原大二郎・西村修一・田中風羽・竹田和弘「収束度(Convergence Index)を利用する微地形表現図『CI マップ』の考案」第59回地盤工学研究発表会 23-13-1-06。
Q. CS立体図とは何ですか?
Curvature(曲率)とSlope(傾斜)を組み合わせて地形を表現する技法で、2012年に長野県林業総合センターが開発しました。標高・傾斜・曲率をそれぞれ別の色で塗って半透明で重ね合わせ、尾根(凸)は赤茶、谷(凹)は青、急斜面ほど暗く表します。通常の等高線地図や陰影起伏図では見えにくい微細な地形変化を読み取れる点が特徴です。
Q. 赤色立体地図とCS立体図の違いは何ですか?
赤色立体地図(アジア航測・千葉達朗氏が考案)は、傾斜を赤の濃さ、尾根と谷の度合い(地上開度と地下開度の差)を明るさに割り当てた表現で、急斜面ほど赤く、尾根は明るく谷は暗く見えます。CS立体図は曲率(凸凹)と傾斜を別々の色で重ねるため、尾根と谷が赤と青で色分けされ、畦や林道のような小さな段差が線として浮かび上がります。赤色立体地図は山の起伏を一目でつかむのに、CS立体図は細かな凹凸を読み取るのに向いています。このページでは、国土地理院の赤色立体地図は、地図の右上の「設定・凡例」(スマホでは「設定」)で開く欄にあるリンクから、地理院地図の同じ場所で開けます。改良版のMPI赤色立体はブラウザで生成し、CS立体図と並べて比べられます。
Q. MPI赤色立体地図とは何ですか?
活断層などの地形判読向けに、従来の赤色立体地図を改良した表現(Kaneda & Chiba, 2019)です。金田平太郎氏と千葉達朗氏が2019年に発表しました(Bulletin of the Seismological Society of America 109巻1号)。尾根谷度の代わりに保護指数MPI(周りの地形にどれだけ囲まれているか)を使い、急斜面は赤、囲まれた谷や凹地は青緑、平坦面は白く表されます。
Q. CS立体図は実務でどのように使われていますか?
林業では林道設計や崩壊地の把握、防災では土砂災害リスクの評価や活断層の検出、考古学では古墳や城跡の発見、道路・ダム建設の地質調査など、幅広い分野で活用されています。長野県が先駆的に全県のCS立体図を公開し、他の自治体にも広がっています。
Q. ブラウザでどうやって地形表現図を作っているのですか?
国土地理院の標高タイル(標高を色の値として記録したPNG画像)を読み込み、Web Worker(ブラウザの裏側で動く計算用スレッド)で傾斜・曲率・開度・保護指数などを画素ごとに計算して画像にしています。隣のタイルの標高も読み込んで計算するので、タイルの境目に継ぎ目が出ません。地図の表示にはWebGLを使うMapLibre GL JSを使っています。
Q. 使っている標高データの細かさは?
国土地理院の標高タイルを使っています。ズーム13以上は、航空レーザ測量による1mメッシュ(DEM1A)→5mメッシュ(DEM5A・DEM5B)→10mメッシュ(DEM10B)の順に使い、1mメッシュが無い所と、その境目の近く(図の種類とズームにより約10〜160m)は、5mメッシュはズーム15、10mメッシュはズーム14の細かさで描いた図を拡大して表示します。ズーム12以下は10mメッシュです。1mメッシュがある地域では、10mメッシュから作った図より細かな地形まで描けます。
Q. 地理院や長野県の地図と、ブラウザ生成の図は何が違いますか?
「地理院」「長野県」と付いた図は、各機関が作成・配信している公式のタイルをそのまま表示しています。「ブラウザ生成」の図は、公開された論文等の手法をこのページで再現したもので、各社・各機関の公式データではありません。MPI赤色立体(ブラウザ生成)も、アジア航測株式会社・金田氏の製品や公式データではありません。同じ場所で両方を並べると、元データの細かさや手法による見え方の違いを確かめられます。
Curvature(曲率)とSlope(傾斜)を合成した地形表現。長野県林業総合センターが開発。微地形の判読に優れる。
地表面の曲がり具合を表す値。凸(尾根)は正の値、凹(谷)は負の値をとる。CS立体図では青(谷)〜白(平坦)で表現。
地表面の勾配の大きさ。急斜面ほど値が大きくなる。CS立体図では赤色の濃淡で表現される。
アジア航測の千葉達朗氏が考案した地形表現。傾斜を赤の濃さ、尾根谷度を明るさで表し、急斜面ほど赤く、尾根は明るく谷は暗く見える。
Morphometric Protection Index。ある地点が周りの地形にどれだけ囲まれて守られているかを表す値。谷や凹地で大きく、尾根や平坦面ではほぼ0になる。
ある地点から見た空(地上開度)や地下(地下開度)の開け具合を角度で表した値。横山ほか(1999)が提案。尾根で地上開度が大きく、谷で小さくなる。
Convergence Index。周りの斜面の向きが中心に集まっている(谷)か、外に広がっている(尾根)かを−90〜+90で表す値。雨水の集まり方の目安になる。
Digital Elevation Model(数値標高モデル)。地表面の標高を格子状の数値データとして記録したもの。GIS分析の基盤データ。
かつて河川が流れていた跡。流路変更や人為的な改修により放棄された河道で、洪水時に浸水リスクが高い場所として知られる。
教育現場での活用アイデアをまとめました。
CS立体図で学校周辺の微地形を発見し、実際のフィールドワークと照合する活動。
進め方:
議論テーマ例:
CS立体図を用いて地域の土砂災害・水害リスクを評価し、ハザードマップと比較する活動。
進め方:
議論テーマ例:
数値標高モデル(DEM)を含む基盤地図情報を無料でダウンロード可能。
CS立体図の開発元。技術解説や長野県全域のCS立体図データを公開。
長野県が航空レーザ測量から作成したCS立体図のタイル・データ。このページの「CS立体図(長野県)」の出典。
赤色立体地図の考案元による解説サイト。作成原理や活用事例を紹介。
MPI赤色立体地図の原論文(Bulletin of the Seismological Society of America 109(1))。
陰影起伏図や標高データを含む多様な地図をブラウザで閲覧できるWebアプリケーション。
無料のGISソフトウェア。DEMデータからCS立体図を自作する際に活用可能。